いすみ市に学ぶ 成熟する地方創生。
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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。
2025年、首都圏の新築分譲マンションの
平均価格は9,182万円という
過去最高価格をたたき出した。
一般人はもう首都圏にマンションを
買えない時代になってしまったのか。
その価格が持つ役割について追っていく。
2025年の新築分譲マンションの平均価格は9,182万円となり、前年の7,820万円から大きく上昇し、過去最高値を更新した。この数字だけを見れば、新築分譲マンションの市場は明らかに高騰している。都心では1億円を超える住戸も珍しくなくなり、「マンションは手が届きにくいものになった」という印象とも矛盾しない。実際に供給状況を見ても、近年は都市や湾岸の大規模開発、駅前再開発のような大型物件の比重が高まっており、総販売戸数1,509戸の「THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY」は平均価格16,991万円、1,438戸の「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」は平均価格13,937万円と“大規模×高価格”で市況を引っ張っているように見える。ただし、その内訳を見ると、同じ建物の中でも価格は一様ではない。「THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY」では47階までは坪単価690〜730万円程度に収まるのに対し、48階以上では800万〜1,000万円、50階を超えると1,200万円近くに達する住戸も見られる。「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」でも43階までは600万円前後だが、44階以降は800万円台に入り、最上階では1,100万円前後の住戸が現れる。つまり平均価格を押し上げているのは、建物全体というより上層の限られた住戸である可能性がある。すなわち、大型物件が高いのではなく、大型物件の中の特定の住戸が大きく価格を引き上げているのではないだろうか。そこで次章では、物件単位ではなく住戸条件、特に階層に着目して価格の推移を見ていきたい。
平均価格には幅の異なる数億円の住戸も一般的な住戸も同じ重さで計算されるため、価格差が大きいほど数字は動きやすくなる。つまり平均は「中心の価格」とは違い、全体の合計がどちらに引っ張られているかを表す数字に近い。では実際に、10年前と比較した階層別の価格推移をみると中低層と高層階で価格の伸び方には大きな差が見られる。【図①】
始めていることの表れと言える。居住用・投資用・別荘用といった従来の分類だけでは捉えきれない需要が、観光地を中心に生まれてきているのだ。もちろん、従来の不動産制度や税制の枠組みの中で、いきなり市場が大きく変わるわけではない。それでも、観光客が集まる都市からこうした商品が生まれ始めたという事実は、観光地の不動産市況がこれから変化していく前触れと捉えていいだろう。札幌、沖縄に続き、今後は日本各地の観光地でも、「住む」「滞在する」「所有する」の境界をまたぐ新たなマンションのあり方がひとつの選択肢として定着していく可能性がある。6階程度までの低層では、2016年からの上昇額は2,500〜3,000万円程度だが、同様に10階〜15階程度では3,500〜4,500万円、20階まででは7,000∼7,600万円、それ以上になると9,000万円を超える額となっている。全ての階層で価格は上昇しているが、伸び方は均一ではなく上層になればなるほど上昇幅は増していき、額だけでなく高層階では上昇率も200%を超えるなど、大きく市場を釣り上げていることが目に見えてわかる。実際に大型物件やタワーマンションを見ると、この構造ははっきりと現れる。例えば八王子駅周辺では2025年の平均価格は昨年より2,235万円上昇しているが、20階以上を除くと上昇幅は1,026万円に縮まる。平均の上昇の多くは、限られた住戸によって生まれていることになる。では、高層階が平均価格を引き上げていることは理解したが、それとは別に首都圏における新築分譲マンションの供給戸数の価格帯はどのようになっているのかを探っていく。下記は2025年の新築分譲マンション価格の分布を表した図だが、1億円以上の住戸も数多く存在し、市場の上限は確かに押し上げられている。ただし戸数の厚みで見ると中心は6,000万〜7,000万円付近に集中し、ここが最も多くの供給を占めている。高額帯は目立つ存在ではあるが、市場の中心が移動したというより上方向に裾野が広がったと捉える方が実態に近いと思われる。【図②】
実際に、前述した八王子の例で見てもルネタワー八王子では、一般住戸は坪単価350万円台に対し、富士山や花火大会を望める住戸が坪単価400〜460万円で販売され、他の住戸より70〜100万円ほど高かった。販売総額にすると1,500〜2,000万円以上値段が吊り上げられている形になる。さらに31・32階のプレミアム住戸は他住戸よりも利益を確保しやすい価格設定となっており、その分、一般住戸は現実的な価格帯で販売できているそうだ。このように平均価格とは、動きの速い部分の影響を強く受ける数字であり、エリア差や眺望・方角などの特定の志向を映す指標に近く、一律な変化というより、特定の住戸の動きが作り出しているという見方の方が分かりやすい。もし高層住戸の上昇が続き、中心価格帯の変化が比較的緩やかであれば、平均価格は実感以上の速度で上昇して見える。例に挙げた八王子は特殊な出来事ではなく、市場構造の一端を表していたと考える方が自然だろう。八王子は更にこの後もタワーマンションの建設・販売を控えており、市場全体の底上げも考えられるが更に特定の住戸が大きく引き上げることも予想できる。また、都心では億ションの供給が3,648戸から5,669戸へと増加し、なんと最高額は25億円の住戸である。こうした住戸は数としては限られていても、平均を押し上げる影響は大きい。マンション価格は確かに上昇しているが、その上昇は一つの水準として現れているわけではない。条件の良い住戸が先に伸び、その影響が平均として表れていると考えられる。上記のような象徴となる物件によって平均価格は更に押し上げられていくが、その数字が示す本当の意味を考えれば、市場との距離は意外にも遠すぎない可能性もある。価格は上昇したが、その上がり方の内訳に目を向けると、見えてくる景色は少し違うかもしれない。数字の印象ほど一律ではなく、エリアや条件を選べば現実的な選択ができる可能性もあるのではないだろうか。
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