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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2026.03.31 MAiL不動産

10年前とは何が違う?住みたい街ランキング!

10年前とは何が違う?住みたい街ランキング!

市場が変われば 志向も変わる。 住みたい街の評価軸。

2026年も住みたい街ランキングが発表され、
横浜が堂々の9連覇を達成。
変わり続ける市場と志向は10年前のランキングと
どのような違いがあるのかを深堀していく。

住みたい街ランキング

2026年の住みたい街ランキングが発表され、1位には横浜が選ばれた。
横浜はこれで9年連続の首位となり、その人気の高さは依然として揺るぎないものとなっている。
だがランキング全体を見渡してみると、エリアによって少し気になる変化も見え、近年は大宮をはじめ、これまでよりも郊外に位置する駅の存在感が増しているように感じられるのだ。
こう言った変化はいつから起きているのかを確認すべく、試しに10年前、2016年のランキングTOP30を振り返ってみると、当時は東京都が25を占め、神奈川は4、埼玉は大宮のみ、千葉や茨城はランクインすらしておらず、住みたい街の多くが東京圏に集中していたことが分かる。
それに対して2026年は、東京都が15に減少する一方で、神奈川5、埼玉5、千葉4、茨城1(つくば)と、東京以外のエリアが大きく比重を高めており、住みたい街として認識される範囲が、この10年で大きく広がっていることが分かる。

ランキングから存在感を落とした街

ランキング上位の街が広がっているという事は、当然順位を落としている街も存在するはずである。かつて上位に位置していた街は、現在どのような状況にあるのだろうか。
2016年のランキングを振り返ると、上位には住宅地としてのブランド性を備えた街が並んでいた。いずれも「住む街」としてのイメージに強みを持ち、住環境や街の雰囲気といった要素が評価されていたエリアであるが、2026年のランキングを見ると、いくつかのこうした街は順位を落とし、TOP30圏外となっているケースも確認できる。
例えば、自由が丘は2016年の4位から2026年には37位へ、二子玉川も10位から45位へと順位を落としている。また、三軒茶屋も19位から46位へと後退しており、いずれもかつての上位常連であったことを踏まえると、その変化は決して小さくない。
これらの街に何が起きているのか。供給の動きという観点から見ていくと、その背景が見えてくる。
まず二子玉川では、2010年代前半に再開発に伴う大規模なマンション供給が行われ、2013年には300戸を超える分譲が確認されるなど、明確な供給のピークを迎えている。商業施設やオフィスと一体となった開発によって街の評価が高まり、ランキング上位に位置していた時期とも重なる。ただし、その後は供給が一巡し、近年では新規分譲は落ち着いた状態が続いている。
一方で、三軒茶屋は二子玉川のような大規模再開発こそないものの、2010年代前半には一定のマンション供給が見られ、住宅地としての人気を支えていた。ただし、エリアの特性上、大規模な開発用地が出にくく、近年は供給自体が限られている状況にある。
そして自由が丘については、そもそも大規模開発が生じにくい街であり、小規模な分譲が断続的に行われるにとどまっている。供給の波は見られるものの、二子玉川のようにまとまった供給が発生する構造にはなっていない。

このように各エリアで供給の形は異なるものの、いずれにも共通しているのは、継続的に新規供給が行われる構造ではないという点である。2010年頃からの供給推移を見ても、一定のタイミングで供給が集中し、その後は落ち着くといった動きが確認できる

また、2025年の首都圏全体の新築分譲マンション平均価格9,182万円に対し三軒茶屋は1億3,800万円、自由が丘は1億1,400万円、二子玉川(2025年の供給は無いため2024年)は1億3,600万円と価格においても大きな差をつけている。
このように開発用地が少なく、価格上昇によって購入のハードルが高まっていることを踏まえると、順位を落とした街は人気を失ったというよりも、他の新たな住まいの選択肢が多くなったことによってランキング上での存在感が変化してきたと捉えるほうが実態に近いのかもしれない。

ランキングが映すもの

2026年のランキングを見ていくと、既存の人気エリアが単に入れ替わっているというよりも、新たに評価される街の裾野が広がっているようにも映る。
例えば、大宮や船橋、流山おおたかの森といったエリアである。これらの街はいずれも、再開発や区画整理を背景に街の機能が更新されつつあり、近年においてもマンション供給が継続している点に特徴がある。こうしたエリアでは、常に「いま選べる住まい」が存在し、検討者がその街に触れる機会も増えることで「住む街」として具体的にイメージされやすい環境が整っているとも言えるだろう。
また、こうした動きの背景には、住まいに対する志向の変化もあると考えられる。かつては都心近接やブランド性の高い住宅地が強く意識されていたのに対し、近年では生活利便や街の機能、さらには価格とのバランスといった現実的な視点から街を選ぶ傾向も強まっている。
一方で、自由が丘や二子玉川、三軒茶屋といった住宅地では、供給の特性に加え、街としてすでに完成しているがゆえに、新たにまとまった開発用地が生まれにくいといった背景もあり、新規の供給が継続しにくい構造にある。
この違いは、街の魅力そのものの差というよりも、「住宅を選択する際にどの街が現在の市場において評価されやすいかを可視化している」という構造の差として捉える方が自然だろう。
住みたい街ランキングは、人気の序列を示す指標であると同時に、「いま、どの街が選択肢として立ち上がっているか」を映し出すものでもあり、順位を落とした街もその価値が失われたわけではない。
再開発や供給の動きを通じて、新たな選択肢が生まれ続けていること自体が、首都圏の住宅市場の活発さを示しているとも言える。こうした変化の中で、それぞれの街の役割や位置づけが、より明確になってきているのではないだろうか。

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