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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2021-09-27 MAiL 特集記事

「ペット共存型」物件、 その顧客需要はいかに?!

マンション市場とペット飼育

首都圏における「ペット飼育可能」分譲マンションはおよそ75%となっており、割合は年々増加傾向にある。さらに、2019~2020年に新しくペットを飼い始めた人数、飼育されている犬猫の数ともに増加しており、過去5年間の中で増加率が最多となった。(一般社団法人ペットフード協会「令和2年全国犬猫飼育実態調査より」)特に2020年はテレワークなどにより自宅にいる時間が長くなったことも原因の一つで、ペットを飼う人が例年よりも13%増加している。
それに伴ってか、ペット飼育可能物件ポータルサイト「ペットホームウェブ」や仲介手数料の一部が保護猫活動に充てられる「ネコリパ不動産」等、ペットに寄ったポータルサイト等も見られる。中でも後者の「ネコリバ不動産」では、一般的な「ペット可」物件とは異なる「ペット共生型」の賃貸・戸建て物件を紹介。「ペット共生型」物件とはペットと暮らすことを念頭に置いて設計された物件で、ペット専用の様々な設備が備わっている。

ペット共生型物件内設備

中でも最近は賃貸や戸建てではなく、新築マンションでも同様のものが見られる。
2021年6月販売の「クレストレジデンス横浜スカイビューシオミダイ」では真新しいコンセプトになっており、愛犬家をターゲットとしている。愛犬と暮らす理想的な企画を実現し、専有部と共用部に様々な工夫がみられる。

専有部では、消臭機能の付いたペット対応クロスが採用・洗面所との導線を確保している3畳ほどの通称「わんルーム」が全戸に設置されている。また、バルコニーの奥行きは2.5mあり、愛犬もバルコニーで遊ぶことが出来る広さが確保されていることや、全戸に床の滑りによるケガ防止のため滑りにくい床が採用されている。
愛犬を意識したつくりは専有部だけではない。特徴的な共用部の設備は大きく3つある。1つ目はテニスコート2面分で、犬のサイズによって3つに分けられたドッグランに加え屋根付きドッグランも設けられているので雨の日にも愛犬を思い切り走り回らせることが出来る。2つ目はBBQが出来るスペースで、ペット同伴で飲食ができるスペースが備えられている。3つ目は日々のお手入れが可能なトリミング台・シンク・ドライヤーを完備した施設があり、もちろんペット専用足洗い場も設置されている。

次に、リノベーション物件ではあるが2021年9月販売の全24戸「相武台前」駅徒歩11分立地の「リリファ相武台」は「PET KINGDOM」といったコンセプト。犬用、猫用でプランが変わっており、犬用のプランには外で走り回れるようにプライベートテラスが設置され、リビングだけではなく外からの出入りが可能である。他にもペットのトイレスペースや、シンクで小型犬を洗うことが出来るフラットシンク、壁クロス見切り材、ペット対応床材などが設けられている。猫用プランでは、犬用のプランの他にオプション対応で、自由に天井近くを歩いて楽しめるキャットウォークが設置可能だ。アクリル板の下から肉球を覗くこともできる。共用部では、同物件もクレストレジデンス同様共用部にはドックランがあり、その他足洗い場、ペット共生用の防災備蓄庫、ブルーミングスペース・トリミングスペースはもちろん、コミュニティラウンジで他のペットたちと遊ぶことも可能である。

実際の売れ行きは?

では、充実したペットのための設備が揃うものの、実際の売れ行きはどうだろうか。
「クレストレジデンス横浜スカイビューシオミダイ」は「上大岡」駅バス9分・徒歩4分立地の全80戸の物件で価格帯が4,500~6,000万円、専有面積帯が80~100㎡。販売開始から3か月経過し、12戸成約に至っている。購入理由としては、「駅距離があるものの、愛犬のための部屋(わんルーム)やドッグランがある点」、「大規模な自然公園が隣接している点」が挙げられた。他にもドッグランに芝生がひかれており、夏に愛犬が火傷をする心配がないことや、眺望の良さ、比較的広面積帯といったところも評価されている。
また、「リリファ相武台」はリノベ物件のため価格は2,500万円前後、専有面積が70㎡程度だ。9月にプレオープンし、犬用・猫用のモデルルームが公開された。来場予約は非常に盛況しており、ほぼ100%の来場者がペット飼育をしているのでトラブル面での不安は他マンションと比べれば低く感じられる。
他にも旭化成不動産レジデンスのアトラスシリーズでもペット専用の提案を行っている。

ペットのことをしっかり考えた住宅は供給数がほとんど見られないことからペット愛好家からの人気が高く、注目度も高い。一方、デベロッパーとしてはマンションを管理するにあたってペットがトラブルの火種にもなることから、ペット中心のコンセプトで打ち出すデメリットを感じてしまうもの無理はない。
しかし、ステイホームによるペット飼育の増加に伴う「ペット共生型」物件が出てき始めているのも事実であり、今後もさらに「ペット共生型」マンションが増えていくのではないだろうか。

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マーケッター

中島理絵

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