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2021-11-30 MAiL 特集記事

2021年総括 本当に郊外化? 実際の売れ行きを探る

2021年のマンション市場

2021年は延期されたオリンピックの開催や新型コロナウイルスのワクチン接種など、2020年から様々な面で「前進」を感じるように思う。それでは新築マンション事業はどのように変化したのか。まずは年別坪単価推移(図1)だが、東京23区では昨年と比べて約10.1%の上昇。同様に東京都内で約10.3%、一都三県で約6.6%の上昇となった。例年と比べて差はあまり見られず、マンション価格は高止まりが続く。次に供給戸数推移では23区で約1.0%減、東京都内で約2.6%減、一都三県で約12.6%増となった。例年、首都圏供給戸数は減少の一途をたどっていたのだが、一都三県で供給戸数が増加。これは、新型コロナウイルスによる郊外化の需要が影響していると考えられる。

次に月間販売戸数の推移(首都圏)では、7月と9月を除いた全月、昨年比増となっている。特に目立つのは2020年4・5月(第一回目緊急事態宣言)に供給数が大きく減少、しかし2021年同時期では緊急事態宣言が発令されていたものの例年通りの供給数に戻った。これはオンライン相談会やウェビナーの登場により対面とオンライン両方を使って販売販促が出来たからではないかと考えられる。一方で、首都圏で感染者がピークとなった2021年7~9月は顧客の需要を見て供給数を絞った・販売延期をした可能性があると考えられる。
それでは一都三県での供給戸数の増加及び月間販売戸数の増加の要因となっているのは「郊外化」による影響なのであろうか。

売れ行きの良かった物件

では、「郊外化」を洗うにあたって2021年に目立った物件はどのような物件か。

■ルネ上尾
W7/80戸/埼玉県上尾市

■ガーラレジデンス相模大塚駅
W2/53戸/神奈川県大和市

■クリオ湘南江の島グランマーレ
W4/68戸/神奈川県藤沢市

■パークタワー勝どきサウス
W2/1,115戸/中央区

■ソライエグラン流山おおたかの森
W2/740戸/千葉県流山市

挙げられた物件は「郊外」エリアでの物件数が目立つように感じるが実際に郊外化によるものだろうか。中でも注目を浴びた物件を見ていく。まず、千葉県流山市に位置しており都心までつくばエクスプレスでアクセス可能な「ソライエグラン流山おおたかの森」は37戸/月ペースで2021年完売、4LDKのプランは15倍の抽選となった。同エリア過去市場で見ると過去一の月成約数の高さとなり好調要因としてはコロナ禍による郊外化、全794戸の規模感、グロスの安さ(2016年供給・徒歩7分物件と同単価)が要因とみられる。

次に、江の島エリアに出た「クリオ湘南江の島グランマーレ」は34.0戸/月ペースで進捗、完売した。市場を見ると1~2戸/月程度で成約していく事例が多く、さらに集客エリアを見ていくと2019年以前物件は藤沢市・鎌倉市からの集客だったが、2021年販売の本物件は藤沢市からの集客だけでなくその他エリアに大きく分散した。まさに郊外化の影響を受けていると言える。
郊外物件の需要に併せて、挙げられた物件に共通する「駅近」という条件。在宅勤務が増えたといえど交通利便性を求める顧客は多い。また、売れ行きの良い物件のエリアを見ると「一都三県」の郊外エリアで進捗しているようだ。Withコロナと呼ばれる中で「ソライエグラン流山おおたかの森」をはじめ駅近の23区外の物件が好調に進捗する様子は“2021年”の色を感じる。「テレワーク導入」から始まった在宅需要による「郊外化」。そして「テレワーク→出社増加」から「住みやすさ&交通利便性」に2022年以降移りつつあるのではないだろうか。

2022年、エリアの雲行きは?

では、顧客の生活が変化しつつある中で2022年の新築マンション市場はどのように変化していくのだろうか。

■幕張ベイパークミッドスクエアタワー
W13/全749戸/千葉県千葉市

■プラウドシティ豊田多摩平の杜
W9/全637戸/日野市

■シティハウス八千代緑が丘
W4/全618戸/千葉県八千代市

■ソライエテラスイースト/ウエスト
W11&12/全796戸/埼玉県草加市

2022年1~3月販売予定物件で総戸数600戸以上物件は4物件、エリアは都下1件と埼玉県1件、千葉県2件と郊外エリアの大規模マンション事業が目立つ。中でも「八千代緑が丘」駅の大規模な土地区画整理事業の区画内に位置している「シティハウス八千代緑が丘」、全米No1に選ばれた建築設計事務所「ZGFアーキテクツ」がタワー外観と外構デザインに参画している「幕張ベイパークミッドスクエアタワー」は注目だ。

「住みやすさ&交通利便性」を優先させた郊外物件の印象が強いものの、供給戸数を絞らず見ると全87件のうち、44件が23区となった。半数以上が23区内供給で、既述の「住みやすさ&交通利便性」という意味で「郊外の駅近×大規模マンション」だけではなく「都内×分譲マンション」という選択肢があるように感じる。実際、2021年供給の売れ行きが良かった物件も都内分譲マンションの事例が散見され、「都内物件」が“劣勢”というわけではなさそうだ。2022年は「住みやすさ&交通利便性」需要の中「郊外」と「都内」に2極化されるのか注目である。(サマリ調べ)

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中島理絵

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