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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2019-12-20 MAiL 特集記事

2019年総括。下がらない価格と勢いづく超大規模物件。

価格は高止まらず! 超大規模物件は全盛期。

2019年も終わりに近づいているが今年の新築マンション市場は
どのように変化したのであろうか。
東京オリンピックを来年に控えた今年、都内ではその準備が着々と進む。
この影響は新築マンション市場にまでも及んでいることは
間違いないであろう。その影響と来年の展望を追う。

価格は高騰、供給戸数は減少

東京オリンピックを来年に控えた2019年であるが新築マンション市場はどのように変化したのだろうか。下の図①は2015年以降、1年毎に平均坪単価・物件数を東京23区内・東京都内・1都3県に分けて推移を表したグラフと月間発売戸数の推移を表したグラフである。まず平均坪単価に注目すると、前年度から東京23区内で約1.6%減、東京都内で約3.9%増、1都3県で約3%増という結果となった。次に物件数を見ると、前年度から東京23区内で約8.8%減、東京都内で約11.2%減、1都3県で約8%減と全体的に微減した年であった。更に供給戸数については2019年度10月時点で21,553戸。前年同期間と比較すると約18%減となっており、「価格高騰」「供給減」が引き続いた年であったと言える。では、この状況は今後も続いていくのか。2019年から見られる展望に目線を移していきたい。

①月間発売戸数の推移・平均坪単価位の推移・物件数の推移

価格高騰は続くのか

2019年もこれまでの傾向通り不動産価格は高騰しているが、その波は止みそうにない。図②は国土交通省が出している建設工事費デフレーター、すなわち建設工事費がどれくらい上昇しているかを表しているグラフである。(2011年を100として計算)リーマンショック以降、下落したマンション価格の高騰を引き起こしたのは東日本大震災に伴う建築工事費の上昇だが、これを皮切りに建築工事費が右肩上がりに推移。東京オリンピック前後で価格は下がると一部では見られているが、今後もこの傾向は変わらないことが予想される。理由は主に2つある。1つ目は就業者の減少だ。帝国データバンクが今年4月に実施したアンケートによると建設業の人手不足は業界として5番目に多いという結果となった。今後も少子高齢化の影響で更に人手不足は深刻化すると予想される。

2つ目は建設需要の減少が見込まれないからである。現在東京オリンピックに向けて新国立競技場を筆頭に都心では渋谷や虎ノ門など各地で再開発が進んでいる。更に東京オリンピック終了後も大阪万博や全国における築50年超となったインフラの整備が待っているため、需要が減少することはない。この2つが主に影響し建設工事費、そして不動産価格の高騰を今後も続くと予想される。

②建設工事費デフレーターの上昇グラフ

超大規模物件は全盛期

不動産価格高騰の要因として東京オリンピックに向けた再開発も影響していることは前述したが、2019年において不動産価格高騰以外の形でもこの影響は表れている。実は今年、総戸数500戸以上の超大規模物件数は過去5年間で最高の11件を記録したのだ。

上記がその詳細だが中でも最注目は東京オリンピック選手村として活用された後に供給される「HARUMI FLAG」だ。今年8月から「PARK VILLAGE」と「SEA VILLAGE」の2棟計600戸が発売され、公式HP登録者数は1,500組超にまで上り、レインボーブリッジが望める住戸(PARK VILLAGE・14階・10,960万円)は倍率71倍の人気ぶりを見せた。また購入者の居住地も半数は中広域からと話題性に富んでいることが伺える。そんな「HARUMI FLAG」以外にも業務核都市として開発が進む「さいたま新都心」や「海浜幕張」には「シントシティ」、「幕張ベイパークスカイグランドタワー」がそれぞれ発売。11月にオープンした「グランベリーパーク」近くには「グランアリーナレジデンス」が発売。その他の物件を見ても2019年は再開発一体型やそれにあやかった超大規模物件が多かった新築マンション市場であった。

勢いの止まらない超大規模物件計画

ここまでをまとめると建設業界の人手不足と東京オリンピック、更にはその先に向けた開発による建築工事費の高騰。その結果、不動産価格は高騰し続けると予想される。そして東京オリンピックの影響は超大規模物件の増加という別の形でも表れた1年であった。来年以降、この超大規模物件の計画は止む気配が
ない。3棟目の供給となる「HARUMI FLAG(SUN VILLAGE)」は2020年3月上旬発売を予定、武蔵小杉最後のタワーマンションとも噂される計1,500戸の物件が日本医科大学敷地内に計画中など現在、合計して供給戸数500戸超の物件は16件計画されており、うち4件が2020年3月までの発売を予定している。そんな超大規模物件がまだまだ計画されている上に東京オリンピック開催年の2020年、新築マンション市場は(特にオリンピック前後で)どのように変化していくのか。中でも東京オリンピック後に価格が下がると予想していた人も動き出せば販売ベースがアップし、供給戸数も久々に前年度を上回る可能性もある。そういった意味でも、2020年は注目の1年となるだろう。

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大山恭平

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