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2026.08.25 MAiL不動産

「見てから選ぶ」竣工後販売の市場とは?

「見てから選ぶ」竣工後販売の市場とは?
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青田売りが中心の新築分譲マンション市場に
おいて、完成した建物を確認してから
検討できる「竣工後販売」は主流とは
言えないが、2021〜2025年の
首都圏マンションデータを整理すると、
供給量自体に大きな変化はない一方で、
供給エリアには小さな変化が見られる。
今回は、23区外へ広がり始めた
竣工後販売の動きと、
その背景を読み解いていく。

竣工後販売の市場は

近年の首都圏の新築分譲マンション市場では、竣工前から販売を始める「青田売り」が一般的となっており、購入検討者も図面やモデルルーム、周辺環境をもとに検討を進めるケースが多く見られる。一方で、完成した建物を確認してから検討できる「竣工後販売」の物件も少なくはない。
ここでいう「竣工後販売」とは、竣工後も販売が続いている物件ではなく、第一期第一次の販売開始が竣工後だった物件を指しており、最初から完成後に販売を始めた新築分譲マンションのことである。この「竣工後販売」の新築分譲マンション市場に小さなトレンドが生まれている。
2021〜2025年の首都圏マンションデータを整理すると、竣工後販売は2021年49棟/2,049戸、2022年50棟/2,626戸、2023年39棟/1,439戸、2024年38棟/1,392戸、2025年42棟/2,074戸となっており、供給量に大きな変化は見られない。
ただし、そのうえで供給エリアに着目すると、変化している様子がうかがえる。次章では、この点をデータとともに深掘りしていく。

大きな変化は供給エリア

まず、首都圏の新築分譲マンション市場全体を見ると、東京23区と23区外の供給棟数比率はおおむね4:6前後で推移している。2021年は23区43.7%/23区外56.3%、2022年は44.3%/55.7%、2023年は46.0%/54.0%、2024年は36.9%/63.1%、2025年は39.8%/60.2%であり、23区外が過半を占める構図が続いている。【図❶】
一方で、竣工後販売は2021〜2023年まで市場全体より23区寄りだった。2021年は23区67.3%/23区外32.7%、2022年は56.0%/44.0%、2023年も59.0%/41.0%となっており、竣工後販売では23区が半数以上を占めていた。ところが、2024年以降は構図が変わり、2024年は23区36.8%/23区外63.2%、2025年は35.7%/64.3%となり、竣工後販売は市場全体よりも23区外寄りの構成となった。【図❷】
棟数で見ても、竣工後販売の23区外物件は2021年16棟、2022年22棟、2023年16棟だったが、2024年は24棟、2025年は27棟まで増えている。つまり、首都圏の市場全体のエリアと比較しても、竣工後販売の重心は23区から23区外へ移り始めているのである。

竣工後販売が広がる背景


では、なぜ竣工後販売は23区外へ広がり始めているのか。背景として考えられるのは、用地取得と販売コストの問題である。近年は23区内でマンション用地を仕入れることが難しく、新築分譲マンションの供給は23区外にも広がっている。一方で、郊外でも用地価格や建築費の上昇は避けにくく、事業採算を合わせるには販売コストのかけ方も慎重に考える必要がある。その中で、棟外モデルルームの設置・運営費は大きな負担になるという。
販売戸数や販売価格とのバランスによっては、棟外モデルルームを構えて長期間販売するより、完成後に現地を活用して販売する方が、採算を合わせるための一つの手法として強いと考えられることもある。
竣工後販売は、単に「完成してから売る」方法ではなく、販売コストや収支を踏まえた現実的な選択肢として、23区外でも取り入れられ始めているのだ。

竣工後販売も選択肢のひとつに

上記のように、竣工後販売が23区外へ広がっている背景には、事業主側の費用的な要素が関係していると考えられる。しかし、高騰する新築分譲マンション市場の中で、完成した建物や住戸を自身の目で確認できることは検討者にとって納得感を醸成するうえで分かりやすいメリットである。
竣工後販売の販売事例を確認してみると、2023年発売の「ウエリス南行徳駅前(NTT都市開発・三信住建)」では、購入ポイントとして「竣工売り物件で実物が見られる点」が挙げられており、また2024年発売の「サンリヤン浦安(西日本鉄道)」では、浦安駅徒歩14分の立地ながら、緑道に面した住環境や日照・眺望を実際に確認しやすい点が評価されたと見られ、70戸を約12カ月で完売している。
また最近は金利上昇への意識や、若年層の比較的早い決断傾向を踏まえると、実物を確認して判断できる竣工後販売は、今後さらに検討しやすい販売手法になる可能性がある。もちろん、竣工後販売は販売が長引けば築年が経過するというデメリットもある。それでも、完成したものを見て納得して選べることは、今後の市場においてよりメリットとして受け止められやすくなるかもしれない。

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久野 晶平

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