「感じのいい」武蔵小山は どう変わる?
ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。
東京23区における新築分譲マンションの
平均坪単価は811万円。
平均価格にすると1.6億円超と非現実的な価格にも見えるが、
「もう無理」と諦める前に今一度市況を確認していきたい。
不動産経済研究所が発表した2026年5月度のデータによると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は約1億660万円、23区においては1億6,286万円、坪単価に直すと811万円まで上昇しており、一般層はおろか、世帯年収1,500万円ほどのパワーカップルでもなかなか手の届きづらい価格となっている。
このデータを見ていくと、「東京23区で新築分譲マンションを買う事は諦め、もう郊外や中古以外の選択肢はないのか」と思ってしまうことは至って普通の考えではあるが、平均値を大きく吊り上げている都心エリアから目を離し、周辺区に目を凝らせば、意外にも坪単価500万円以下、70㎡にして約1億円を切るような、パワーカップルが手の届くような新築分譲マンションも少なからず存在する。
次章ではそういった「まだチャンスのあるエリア・物件」に目を向けて市況を確認していきたい。
「物件の平均坪単価が500万円以下」にターゲットを絞って調べてみると、直近では「荒川区〜南千住」「板橋区〜加賀」や「足立区〜北綾瀬・千住大橋」などのエリアで販売されていることが確認できる。 そんな各エリアの実際の新築分譲マンションの販売状況を見ていきたい。
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■南千住 わずか8ヶ月で97戸が全戸完売
『エクセレントシティ南千住ザ・レジデンス』(坪450.0万円・平均7,561万円)は、2025年7月の販売開始から1年を大幅に超えることなく、わずか8ヶ月で全戸が完売した。購入者の居住地を見ると、地元荒川区(29%)や隣の台東区(25%)だけでなく、足立区、墨田区、あるいはその他の23区、「城東・城北エリア」を横断して広域から買い手が集まっており、9割が23区内での勤務となっている。
「上野7分、東京19分、かつ3LDKが8,000万円台前半」という現実的な価格であれば、アドレスのブランドなど関係なく、実需層からの大きな支持を集めたと言える。
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■板橋加賀 約半年で85戸供給
総戸数228戸の大規模分譲である『バウス加賀』(坪477.8万円・平均8,929万円)は、2025年11月の分譲開始から非常に堅調なペースで供給が進み、約半年で85戸を供給した。
実際のマーケットを動かしているのは、都営三田線「新板橋」駅から「大手町まで直通15分」という都心至近の利便性と、石神井川沿いの豊かな緑に恵まれた落ち着いた住環境という確固たる実利だ。この高いポテンシャルが評価された結果、相場が高騰しすぎて予算が合わなくなった「文京区」や隣接する「北区」のマンション検討者が数多く流入しており、広い視野で現実的な1億円前後の優良物件を求めるファミリー層の確実な受け皿となっている。
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■北綾瀬・千住大橋 反響1,200件、来場300件
千代田線始発駅の『バウス北綾瀬タワー』(坪490.4万円・平均1億542万円)や、北千住生活圏の『イニシア千住大橋ステーションフロント Bright wing』(坪495.8万円・平均1億665万円)も、周辺の枠を超えて実需層を吸い寄せている。バウス北綾瀬タワーは平均価格が1億円の大台に乗っているが、反響1,200件、来場300件という凄まじい熱量で上層階から売れており、「千代田線で大手町まで直通25分、かつ駅近・始発」という利点を前に、従来のエリアイメージに捉われることなく、合理的な価値判断で動く層がきわめて多いことを表している。
こうして見ると、これほど都心アクセスに優れたエリアが、なぜ現在の高騰市場において「坪単価500万円以下」という価格帯に収まっているのだろうか。そこには、各エリアが持つ特有の背景と、物理的なトレードオフがもたらす「相場の上限」が絶妙に関係している。
まず「荒川区(南千住)」においては、荒川や隅田川に囲まれた低地ならではのハザードマップ(浸水リスク)への意識が、エリア全体の価格高騰に対して一定のブレーキとして働きやすい。【参考①】
次に過去は治安に対するイメージ【参考②】から避けられがちなエリアであった「足立区(北綾瀬・千住大橋)」は、近年の再開発によって街並みがクリーンに進化しているものの、マーケット全体の相場に追い付くまでにはまだ至っていない。言い換えれば、今後はさらなる価格上昇が見込まれるものの、現時点では「上昇前夜という都心との時差」があるからこそ、この価格で推移していると考えられる。
そして「板橋区(加賀)」が、パワーカップルが検討できる約1億円程度の価格帯に収まっているのは、エリアの地盤への懸念イメージ【参考③】に加え、明確な立地条件の割り切りがあるためだ。現在の23区新築マンション市場において「駅徒歩10分以上」の物件は全体のわずか10〜15%程度しか存在せず、現代の検討者にとってはやや遠い部類に入る。この「駅徒歩10分以上」という市場の少数派データは、購入検討者の間でも好みが分かれやすい条件であり、これが分譲時の単価が過度に跳ね上がるのを抑える要因となっている。
23区全体の平均価格というマクロデータだけを見ていると、一次取得層の家探しは高い壁に突き当たってしまったように思えるかもしれない。しかし、上記で説明してきたようなエリアや条件になると、意外にも世帯年収1,000〜1,500万円程度でも手は届く価格での販売実績がある。
これらのエリアは、都心直通15〜25分圏内という優れたアクセス性を持つだけでなく、近年は駅前の再開発や美しい街並みの整備が進み、一昔前とは異なる新たな魅力や高い居住ポテンシャルを備えた街へと進化を遂げている。だからこそ、南千住をはじめとする各物件が堅調な進捗を見せているのも、目の肥えた実需層がその「暮らしやすさと価格の優れたバランス」を冷静に評価している結果と言える。
「23区はもう手が届かない」と早々に諦めてしまう前に、このポテンシャルを秘めた境界線に一度目を向けてみてほしい。イメージが懸念材料となるエリアもあるが、日々の暮らしやすさと確かなアクセスの良さを丁寧に見極めることができれば、この市場環境の中でも、家族にとって最高の「納得の住まい」を掴むチャンスは、まだまだ十分に存在しているはずだ。