新築マンションの 販売期間って どう変わった?
ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。
2033年度竣工予定の約15年ぶりとなる
大型タワーマンション再開発が進む武蔵小山。
価格高騰が続き、坪700万円台の供給事例も
見られる中、商店街を中心とした“暮らしの街”
として評価されてきた武蔵小山は、
今後どのような発展を遂げていくのだろうか。
2025年11月、「武蔵小山」駅で新たな大型再開発計画が動き始めた。小山三丁目第1地区第一種市街地再開発事業の組合設立が東京都から認可され、2026年1月には三菱地所レジデンスと日鉄興和不動産が事業参画を正式発表。2033年度の竣工を予定しており、「武蔵小山」駅南東側、パルム商店街入口に面した約1.4haの区域で、地上約145m・総戸数約850戸の高層住宅や商業施設などが整備される計画であり、同駅では過去に「パークシティ武蔵小山 ザ タワー(2017)」や、「シティタワー武蔵小山(2019)」などの開発によって駅前風景が大きく変化してきたが、今回の計画は約15年ぶりとなる大型タワーマンション供給となる予定だ。「武蔵小山」駅は、東急目黒線による交通利便に加え、パルム商店街を中心とした生活環境の充実度も高く、都心近接と暮らしやすさを両立できる住宅地として存在感を高めている。一方で、再開発が進む中でも、商店街文化や日常的な街の空気感が残されている点も特徴だ。約15年ぶりとなる次の大型供給で、武蔵小山はどのような街へ変化していくのか。今回の再開発にも注目が集まりそうだ。
そんな武蔵小山で、前回の大型再開発を象徴する存在となったのが「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」だった。
当時のタワーマンション広告では、“都心”“ラグジュアリー”“眺望”といった高級感を前面に押し出す表現も多かった中で、2017年に販売が開始された同物件は、「日本一感じのいいタワマン」というキャッチコピーでも話題を集め、武蔵小山ではあえて「感じの良さ」や「暮らしやすさ」を想起させる広告展開が行われていた点が特徴的だった。実際、武蔵小山という街自体も、超高級住宅地というよりは、パルム商店街を中心とした生活利便や日常的な親しみやすさに魅力を持つエリアとして認識されており、再開発によってタワーマンションが建設される一方で、“地元の暮らし”との距離感を意識した街づくりや広告表現が行われていたことは、武蔵小山らしい特徴ともいえるだろう。
ではそんな「武蔵小山」駅の居住地としての最近の需要供給はどのようになっているのか。武蔵小山では大型タワーマンション供給が一巡し、新築マンション供給戸数自体は減少傾向となりつつある一方で、近年の販売事例を見ると、広告表現や購入ポイントには引き続き“武蔵小山らしさ”ともいえる生活密着型のトンマナが色濃く残っている。
例えば2024年に販売された「ルジェンテ武蔵小山アベニュー(東急リバブル/32戸)」では、平均坪単価673.7万円という高価格帯でありながら、「毎日の選ぶ楽しさ」「駅近で便利な帰り道」といった日常生活に寄り添う表現を前面に打ち出していた。パンフレットでも、商店街を歩くシーンや日々の暮らしを想起させるビジュアルが多用されており、パルム商店街や戸越銀座商店街を生活圏とする“住環境”そのものを価値として訴求していた点が特徴的だった。
実際、こうした生活環境重視の訴求は市場でも一定の評価を集めていたようだ。同物件では単身女性・30-40代会社員を中心に販売対象住戸22戸が11月中に成約し、自己資金についても半数以上がオールキャッシュとなっていた。
現在の武蔵小山では、商店街を中心とした親しみやすい生活環境や日常利便が引き続き評価されている一方、購入者属性を見ると、職住近接を重視する層の流入も目立っている。“暮らしやすい街”としてのイメージを維持しながらも、都心近接エリアとしての利便性も同時に評価される市場へと変化しつつあるようだ。
こうした流れを踏まえると、約15年ぶりとなる次の大型再開発で、武蔵小山がどのようなポジションを打ち出していくのかにも注目が集まりそうだ。
これまでの武蔵小山では、「日本一感じのいいタワマン」に象徴されるように、タワーマンションでありながらも商店街や日常生活との距離感を意識した開発や広告展開が続いてきた。近年の「ルジェンテ武蔵小山アベニュー」でも、“都心高額マンション”というより、“暮らしやすい街の住まい”としてのトンマナが前面に打ち出されており、武蔵小山らしい価値観は現在も色濃く残っている。
一方で、マンション価格は大きく上昇している。2016年頃には平均坪単価390万円台だった武蔵小山の新築マンション市場は、近年では600万〜700万円台の供給事例も見られるようになり、住宅市場としては既に都心高額帯に近いフェーズへと変化しつつある。購入者属性を見ても、職住近接を重視する都心勤務層や、高額帯でも購入可能な富裕層需要が目立っており、武蔵小山は“親しみやすいローカルな街”というだけではなく、都心近接エリアとしての存在感も強めている状況だ。
約15年ぶりとなる次の大型供給では、これまでのような“暮らしやすさ”や“生活感”を引き続き訴求していくのか。それとも、都心近接エリアとして新たなポジションを打ち出していくのか。価格高騰が続く中で、次の再開発がどのような広告表現や街の見せ方を選ぶのかにも注目したい。