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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。
価格高騰や郊外物件の供給増により
首都圏の新築マンション販売における販売期間は
過去と比較してどのように変化したのか。
早期完売を目指すか否かの販売戦略も変化している中で
その実態を追っていく。
この新築マンションは即完した、或いは3カ月で想定より早期完売した、そんな超短期間で売れた事例を最近ほとんど耳にしなくなった。これは当然価格高騰やライフスタイルの変化によって、供給エリアが変わってきていることによるものに他ならないだろう。では、実際に新築分譲マンションの販売期間がどのように変化しているのだろうか。未婚化の進行や価格高騰、郊外物件の増加によって、短期間で集客できるターゲット層は縮小していると考えられる一方で、供給数の減少により新築マンションの希少性が高まっている側面も考えられる。そんな新築マンションの販売期間の変化を検証するため2023年を軸に、過去5年ごと4時点の販売状況を検証した。(※24・25年を対象にするとまだ十分な販売期間が経過していない物件が多数あるため2023年を最新の軸としている)。検証の方法としては首都圏における新築マンションのうち1年以内に完売した物件割合・2年以内に完売した物件割合、更には2年以内に完売した物件の平均販売期間を比較検証していく。
すると2008年は1年以内・2年以内に完売した物件の割合が他の年と比較して最も低い結果となった。ただこれは言わずもがなリーマンショックによる経済不安の影響が大きいとみられる。続いてその後を見ると、2013年から2018年にかけては販売が長期化した一方、2018年から2023年にかけては1年以内完売率、2年以内完売率ともに改善し、2年以内に完売した物件の平均完売期間も2013年を超えた水準まで短期化しているのがわかる。【グラフ①参考】一見このデータからは直近の新築マンションの販売期間は短期化し、顧客ニーズに合った物件が見つけやすくなっていると見られる。ただし、この全体傾向は規模別・エリア別に分けると見え方が変わる。
全体の傾向を分解し、規模別に見ると全体の数字を大きく動かしているのは50戸未満の小規模物件の影響が大きい。2年以内完売率は2018年が約88%、2023年が91%と大差ないが、1年以内完売率は2018年約55%から2023年約68%へ大きく上昇している。【グラフ②参考】ただしこの背景には東京23区の供給減少がある。2018年に23区で供給された50戸未満の物件は162件で、そのうち1年以内に完売した物棟数は100件だった。2023年はその供給が118件まで減った一方、1年以内に完売した物件は91件と大きく落ちていない。つまり、価格が上がっても23区内では小規模マンション90〜100件程度を吸収できる需要がなお存在しているというこだ。東京都下や3県の供給棟数に大きな変化がなかったため、その点を踏まえると、23区の需給バランスが小規模物件の販売期間、ひいては市場全体の販売期間における短期化を押し上げたと考えられる。
一方で、50〜100戸、100〜200戸の中〜大規模物件を見ると、販売期間はむしろ長期化している。50〜100戸では、2013年から2023年にかけて1年以内完売率、2年以内完売率は概ね低下傾向で、2年以内完売物件における平均販売期間も徐々に長くなっており、2023年と2013年を比較すると約1カ月長期化している。【グラフ③参考】100〜200戸でも同様に、1年以内完売率、2年以内完売率ともに2013年から低下し、2年以内完売物件における平均販売期間も同じく2023年と2018年を比較すると2カ月以上長期化している。【グラフ④参考】これらは要因をエリア別に見るとより明確だ。50〜200戸の供給棟数に占める23区割合を見ると下記のようになる。
・2013年:首都圏325件中23区内は139件(約43%)
・2018年:首都圏203件中23区内は77件(約38%)
・2023年:首都圏157件中23区内は51件(約33%)
つまり供給総数の減少と同時に23区比率も下がり、郊外物件の供給比重が高まっている。これは郊外物件の場合、価格高騰もあり地元需要だけで完結しにくく、中広域からの集客が必要になる物件が年々増加し、それによって販売期間の長期化につながっていると考えるのが妥当だ。※200戸以上の大〜超大規模マンションは供給棟数が多くなく、全体の数字に大きな影響を与えていなかった。
結論として、新築マンション市場の販売期間は長期化しているとみるのが自然だ。直近データでは短期化しているように見えるが、その主因は東京23区の小規模物件が希少性の高まりによって早期完売しているためである。実態としては、郊外供給の増加と価格高騰の影響で、中〜大規模物件ほど集客に時間を要しやすい。不動産会社としては、23区小規模物件の強い需要と、郊外中大規模物件の販売長期化という二極化を前提に、エリアと規模に応じた販売戦略を組み立てることが重要になりそうだ。