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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2023-10-25 MAiL 不動産

つくばエクスプレス線が切り開いた、つくば市の未来。

ここ数年で開発が加速し、業界内でも注目度の高い「つくば市」が今年、一般市の人口増加率で初の全国1位となった今、あらためて街の成長を振り返り、まだ先にある発展の可能性や街の将来像を紐解いていく。

つくば市のポジション

つくば市は、世界屈指の研究拠点として、「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」をはじめとする国の研究機関や民間企業の研究所が160カ所以上存在し、2万人を超える研究者を有する国内最大の「研究学園都市」として有名であるが、2005年につくばエクスプレス線が開通し、駅周辺の商業施設を中心に、病院や学校などの生活インフラを整え、ゆとりある住宅地が計画的に整備された美しい街並みが特徴となっている。また、つくばエクスプレス線が開通したことで、秋葉原駅まで最速45分と都心へのアクセスが良好となり、近年ではテレワークなどの新たな働き方がうまれたことで、利便性と住環境の両方が叶う街として他県からの転入数増加に拍車をかけている。そして今年、総務省が公表した住民基本台帳に基づく人口動態及び世帯数調査において、つくば市の(令和5年1月1日現在)人口増加率は2.30%の上昇となり、全国の市区部で初めての1位となった。

つくば市の基本データによると、人口は255,152人(令和5年7月1日現在)であり、県庁所在地である水戸市に次いで、茨城県内で2番目の大都市圏となっている。また、県内トップである水戸市の人口は268,379人(令和5年7月1日現在)であるが、人口は減少傾向となっており、今後つくば市の人口増加率が同水準で推移した場合に、単純計算で約3年後の2026年頃には人口27万人を超え、近い将来、つくば市が茨城県内最大の人口となる可能性が高まっている。同市は、人口増加の主な要因をつくばエクスプレス線沿いの区画整理事業が完了し、宅地分譲が本格化された2020年頃から東京圏をはじめとする他県からの子育て世帯の転入が続いている影響が大きいと分析しており、これからもつくばエクスプレス沿線の開発を起爆剤に持続可能で包摂的な都市を目指している。

つくば市の価値

三菱UFJ不動産販売株式会社が1993年から毎年公表している「住みよさランキング」をご存じだろうか。これは、全国792市と東京20区(千代田区・中央区・港区を除く)を合計した812市区を対象に住みよさを表す4つの指標について偏差値を算出し、その平均値を総合評価として順位付けしているものだ。2023年度の「住みよさランキング」によると、つくば市の総合評価は茨城県内で第1位、全国では第7位の高評価を得ている。過去のランキングでは2019年度全国64位、2021年度全国20位であったため、驚異的なスピードで評価を上げていることが分かる。先述した4つの指標には「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」があり、つくば市の総合評価を押し上げた項目は総合評価と同順位を獲得している「富裕度」である。

この項目を評価する上では①財政力指数/②人口当たり法人市民税/③納税義務者1人当たり所得/④1住宅当たり延べ床面積/⑤住宅地平均地価の5つの要素を基に算出しており、項目②③の人口当たり法人市民税や納税義務者1人当たり所得については全国1位となった人口増加率の影響が大きく寄与していると言える。これまで、他県からの転入を促進させたつくばエクスプレス沿線のまちづくりだが、これ以上の発展は望めるのだろうか。

つくばエクスプレス線の未来

今年6月に茨城県は東京・秋葉原とつくばを結ぶ、つくばエクスプレス線について茨城県内の延伸先を土浦方面とすることを最終決定し、2050年頃に土浦延伸計画の実現を目指している。また、土浦延伸が実現した後には茨城空港への延伸計画の検討に入ることも表明しており、同県の狙いはつくば市と水戸市の2大都市圏の交流促進と東京圏からの更なる人の流れの創出を継続的なものにして、公共交通サービスレベルを向上させることで県勢発展を確かなものにしたい意向だ。

TXつくば駅とJR土浦駅が結ばれることでどのような効果をもたらすのだろうか。茨城県政策企画部交通政策課が公表している「TX県内延伸調査の結果について」によれば、現在つくば市と土浦市はバスで接続されており、平日・休日ともに7~8万人の流動量があり、つくばエクスプレス線とJR常磐線の接続となれば、つくば市と土浦市間の一部道路区間の渋滞解消を含め、地域の利便性向上と県庁所在地である水戸への時短効果が期待できるほか、新たな沿線開発に伴う企業誘致、宅地開発が促進され、水戸・茨城空港方面を含めた居住面積の拡充が広範囲に効果を生み出すとしている。また、茨城空港への延伸計画が実現された場合の潜在的な期待値として、筑波山方面や霞ケ浦方面における観光客誘致、インバウンドもターゲットとした広域観光振興など、大きな経済発展の可能性を秘めている。

つくばエクスプレス線延伸計画は他に、つくば市・流山市・八潮市・足立区・荒川区などを含めた計9つの市区長が首都圏新都市鉄道株式会社に対して、秋葉原駅から東京駅への延伸等に係る要望書を提出していることを考えると、つくばエクスプレス沿線エリアの発展はここで留まることはなく、この先20年30年後まで、つくば市を中心とした茨城県北部方面の将来性に目が離せない。

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マーケター

藤原健太

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