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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2024-02-29 MAiL 不動産

「平屋回帰」は、いかにして生まれたのか。

「2023年注文住宅動向・トレンド調査」による平屋における需要の高まりにスポットをあて、「平屋回帰」がなぜ起こったのか。その背景を紐解いていく。

トレンドは「コンパクトで住みやすい家」

SUUMOリサーチセンターが発表した調査「2023年注文住宅動向・トレンド調査」によると、建築費は全国平均で3,186万円、土地代2,145万円で、ともに直近8年では最高値となっている。近年、建築価格、土地価格ともに上昇を続けているが、残念ながら2024年以降も、人件費・資材費が下がる要素はないといった状況だ。こうした中で建築面積を抑えることで建築費を節約し、且つ住みやすい側面をもつ「平屋」が再び注目を集めている。一時は見劣りすると考えられた平屋だが、そのシンプルで機能的なデザイン、バリアフリーで快適な生活空間、さらには環境への配慮など、さまざまな要因が複合的に絡み合い、再評価されており、都市部から郊外、さらに田舎の地域まで広がりを見せている。この記事では、なぜ平屋の住宅の需要が高まっているのか、その背後にある理由を紐解いていく。

平家の魅力

従来の二階建てやマンションに比べて、平屋の住宅が人々の関心を集める理由の1つには 階段が無く、段差が少ないことから、高齢者や身体障害者にとっても利便性が高いほか、小さな子供のいる家庭にとっても、安全性が高く視界が広いため、子育てに適した環境であることが挙げられる。また、将来の増築や改装が比較的容易であり、家族構成やライフスタイルの変化に合わせて柔軟に対応することができることも、将来を見据えた長期的な住まいとして評価を得ている。さらに言えば、平屋は一般的に、庭や屋外空間との一体感を重視した設計が多く、自然光や風が建物内部に取り込まれる快適な居住空間が魅力的であるほか、断熱性能が高い仕様が特徴的で、屋根に太陽光パネルを設置しやすいため、再生可能エネルギーの活用が容易であることが環境に優しい住宅として選ばれる大きな理由となっている。

高まるニーズ

一昔前までは、平屋といえば古い住宅の代表的な特徴とされていたが、現在では機能性や個性的なデザインが注目を集め、若い世代を中心に「平屋回帰」の流れが伸び続けており、全国的に新築一戸建ての着工棟数が減少している中でも、平屋の着工棟数は5年連続で増加している。その背景には次の3つの要素が影響していると推測される。1つ目が多忙な現代人にとって、家事や移動の効率化を図るコンパクトなライフスタイルを追い求め、家族とのコミュニケーションを優先するスタイルが魅力的な生活だと考えられるようになり、住まい方として平屋が選ばれるようになっている点が挙げられる。

2つ目が、SDGsへの関心の高まりから、環境配慮型住宅が注目を集めており、平屋が得意としている持続可能な生活や環境負荷の軽減に貢献することができる省エネルギー設計や再生可能エネルギーの活用など、自然との調和を重視した住宅が求められることが「平屋回帰」を後押ししている。

最後の3つ目としては、各大手ハウスメーカーがこの数年で「平屋」を主力商品として開発に着手し、付加価値や商品としてのバリュエーションを増やすことで、古い民家という印象が強かった「平屋」を最新のトレンドとしてブラッシュアップし、高騰する建築費の問題やアフターコロナにおける働き方など、社会性としても「平屋」がベストアンサーとする流れを生み出したことが大きな要素となっている。

まとめ

一戸建てのマイホームと言えば、2階建て3LDK以上が定番だった時代は終わり、アフターコロナにおける家族のあり方やライフスタイルの多様化、さらには住宅資材や土地価格の高騰により、コンパクトでも自分らしさを楽しめる「ミニマルな暮らし」が注目されたことで、平屋への関心が高まることになったわけだが、平屋のメリットは前記で紹介した以外にも、安定した耐震性や、冷暖房効率が高く、ランニングコストを下げる効果や、長期的なメンテナンス費用を抑えることが可能など、他にも多くの利点が備わっていることを考えると、今後も平屋の着工棟数は増え続けることが予想される。現在は平屋を選択する場合、基本的には注文住宅として検討する機会が多いが、今後の需要の高まりを考慮すると、規格住宅や建売住宅にも商品化の波が押し寄せる時代は、すぐそこかもしれない。

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マーケター

藤原健太

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