2024年総括販売戸数は減少傾向どうなる2025年
NEW千葉県北西エリアで近年、変化の著しい街、鎌ヶ谷市。その市内において「新鎌ヶ谷」駅周辺に着目し、郊外エリアの新たな穴場スポットとして今後の市場拡大の可能性を考察していきたい。
近年、千葉北西エリアで変化の著しい街
千葉県の北西エリアで人気の駅と言えば、「柏の葉キャンパス」や「流山おおたかの森」が有名であるが、近年同エリアで変化の著しい駅がある。それが「新鎌ヶ谷」だ。近隣の行政と比較すると地価に割安感のある鎌ヶ谷市だが、新京成線の連続立体交差事業により、踏切が除去されるなど、街の開発が進んでいる。そして現在、新鎌ヶ谷駅南側の長らく空地となっていた県有地約7,000平米の土地に新鎌ヶ谷駅直結の複合施設(商業棟)と分譲マンション(住宅棟)の2棟の建設が進行中である。【図①】 商業棟は、地上6階地下1階建て、低層階に飲食・物販店が入り、上層階にはオフィスを誘致する計画となっている。また、駅の南北を往来できる自由通路や広場を整備することで、駅周辺の賑わいの創出と回遊性向上が期待されている。本記事では、再開発が進んでいる新鎌ヶ谷駅周辺に着目し、実際の不動産需要や、今後の市場拡大の可能性を考察していく。
新鎌ヶ谷駅周辺の過去事例
はじめに、新鎌ヶ谷駅周辺における過去10年間に供給された物件を見ると、3物件が供給されていた。【図②】 2016年にヴェレーナ新鎌ヶ谷/全81戸を大和地所レジデンスが供給しているが、月平均成約数4.8戸と決して好調とは言えない販売進捗であった。しかし、次に登場する東武鉄道が供給したソライエ新鎌ヶ谷/全136戸の大型分譲マンションの月平均成約数は11.3戸であり、初月申込率は78.7%と販売進捗は好調に進んだ。この好調要因の1つには駅徒歩3分の好立地且つ、100戸を超える大型分譲マンションというスケールメリットが注目を集める要素となっている事は間違いない。しかし、他にも商業施設が充実している点や、安定した地盤への安心感など、街に対する高い評価が購入のポイントとなっている。
元々、戸建て需要の強いエリアであり、これまでマンション市場の拡大は見られなかったわけだが、駅前の再開発事業をきっかけに成長を遂げた事例は多数あることから、新鎌ヶ谷駅周辺のマンション市場規模が拡大する可能性は十分に考えられる。
ソライエ新鎌ヶ谷の購入者特性
前述で紹介した、ソライエ新鎌ヶ谷の購入者特性を調査し、どのような人が購入しているのか確かめてみたところ、購入者の前居住地は、全体の半数が鎌ケ谷市内であり、その他は船橋市や松戸市をはじめとする周辺市区から約30%、東京都から約10%見られた。また、年齢層は30歳代が半数を占め、次いで40歳代と50歳代が続いている。家族数では、2人世帯が最も多く約40%、次いで1人世帯と3人世帯が各20%となっている。最後に年収になるが、500万円台・600万円台・1,000万円台がそれぞれボリュームゾーンであり、幅広いユーザーが購入していることが分かった。
地元周辺以外にも東京都・他県の広域から約20%獲得している点や、各年代から支持を集めた点が、好調進捗となった結果を物語っている。
新鎌ヶ谷駅周辺の魅力とは
駅前の再開発で盛り上がり、マンション需要の高まりも見られる新鎌ヶ谷駅周辺だが、他にもマンション購入を検討するユーザーが魅力的に思うポイントを3つ紹介したい。
1つ目が、都心から25km圏内であり、成田スカイアクセス線・北総線・新京成線・東武アーバンパークラインの4路線に乗り換え可能なターミナル駅であるという点だ。まさに東京都心方面へ通勤・通学する人にとっては魅力的なアクセス条件である。また、乗り換えなしで成田空港と羽田空港の双方が利用できる点も評価されている。2つ目が、駅周辺の高い利便性である。アクロスモール新鎌ヶ谷とイオン鎌ケ谷の2つの商業施設が駅徒歩5分圏に立地し、駅前の賑わいを創出している。他にも鎌ケ谷市役所や鎌ケ谷総合病院など、生活に欠かせない重要な施設が駅前に集約されている点も利便性を高める要素となっている。
最後の3つ目であるが、子育て世帯に対する行政からのきめ細かいサポートである。鎌ヶ谷市では妊娠から出産、子育てまで様々な分野におけるサポート体制を構築しており、自宅訪問による支援から、子育て情報の発信とスケジュール管理ができる子育て専用アプリ「かまっこすくすくアプリ」を配信している。そして、平成27年度から連続して待機児童ゼロを達成している点も子育て世帯には安心できる環境となっている。
市場成長の可能性は?
そんな子育て環境に定評があり、交通の利便性や充実した駅前環境が備わっていながら、まだ街としての認知度は高くない鎌ヶ谷市であるが、現在進行中の駅直結複合施設の他に新鎌ヶ谷駅西側地区のまちづくり構想を計画している。内容の中には、これまで市街化を抑制していた農地を主体とするエリアにおける活用法が計画され、「まちなか居住ゾーン」「にぎわい創出ゾーン」「地域連携ゾーン」など、都心居住の促進や農地と住宅が調和した住環境の実現を目指している。【図③】
現在販売活動を開始している、駅直結複合施設の住宅棟である「ザレジデンス新鎌ヶ谷ターミナルフロント」をかわきりにこの再開発事業がより目に見える形まで進行していけば、これまでにない需要の高まりや、住みたい街ランキングの上位に浮上する可能性を秘めている。そんな鎌ヶ谷市の新鎌ヶ谷駅前周辺の動向に今後も着目していきたい。