
8月から入社いたしました
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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。
私たちのチームにとって、自治体の地方創生は大きなテーマの一つですが、 今回はTVなどでも紹介される有名な熊野古道のコンテンツマーケティングの事例を紹介します。
熊野古道は、平安時代から続く由緒ある巡礼路です。全長600km超のうち、世界遺産に認定されたのは約200km。巡礼コースのひとつ和歌山県田辺市はもともと観光が中心の地域ではありませんでしたが2004年の世界遺産認定を機に観光客が急増しました。その多くは一過性のバスツアー客。また、観光客のマナーの問題もあり、このままでは古道本来の「静けさ」や「精神性」が失われるという危機感から、地元では大胆な戦略転換を図りました。
その立役者となったのが、古道の熱狂的なファンであったカナダ出身の方でした。彼は、かつて地元で3年間、国際交流員として働いた経験を活かし、「外国人なんて来るはずない」という地元の人々の意識を変えることから始めました。そこから官民協働で日本の精神文化とアウトドアを愛する欧米豪の個人旅行客にターゲットを絞り込む各国への営業を開始。また彼らが求める情報を彼らの目線で発信するため、Webサイトの無料音声ガイドや巡礼手帳、外国人向けガイドブック等を制作し、外国人観光客の増加に貢献していきます。
この成功の裏には、ブランド価値を再定義し、熱狂的なファンを育てるという素晴らしいマーケティング戦略がありました。単なる情報提供ではなく、熊野の深い物語を伝える価値の高いコンテンツを丁寧に作り上げたこの視点が、持続可能なビジネスモデルを生み出し、インバウンドでの観光客及びリピーター率UPという成果に繋がったと言えます。
表面的な集客ではなく、本質的なファンを創造すること。私もこの視点の大切さを今後のプロジェクトに活かせればと思いました。
そんな田辺市も人口減少と過疎化の波が迫っているようで、宿泊施設を経営する人も高齢化が進んでおり、観光の担い手は減っていくことが懸念されています。日本の至る所でのこういった課題、何とかみんなの力で解決していきたいと強く思います。