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2024-01-22 MAiL 不動産

ダイヤ改正でマンションの資産性は変化する?その実情を追う

毎年に渡って必ず数本の路線で起こるダイヤ改正。その内容は本数の増減や別路線直通の開始や停止など賛否両論様々だ。昨今は京葉線の通勤快速・快速停止のニュースが世間を賑わせている。そんな中で1つ気になるのが、路線のダイヤ改正によって不動産業界にどの程度の影響をもたらすのか否かだ。本記事ではその不動産業界への影響の中でも資産性に着目してダイヤ改正の影響を紐解いていく。

世間を賑わせるダイヤ改正のニュース

昨今、京葉線のダイヤ改正が世間を賑わせている。2023 年 12 月、JR 東日本は京葉線の朝夕ラッシュ時に 1 日 4 本運行されている通勤快速と快速を全て各駅停車にすると発表した。これに対し、千葉市長や千葉県知事は「容認できない」として猛反発。2024 年 1 月に再度JR 東日本から発表があり、早朝の上り 2 本のみを快速を継続という内容に修正がされた。しかし修正がされたといっても実質格下げになる駅があることは変わらないため、周辺の居住者にとってはフラストレーションの溜まるニュースであることに間違いはないだろう。そうなると今度はその後の住宅需要においても影響を及ぼすことが考えられる。そして需要が減少すればそのエリアの資産価値にも影響するだろう。では実際に資産価値にどれほど影響するのか、過去の事例からその傾向を掴んでいきたい。

実際に価格や地価には影響する?

① 小田急多摩線
小田急多摩線は新百合ヶ丘から唐木田を結ぶ路線であり、新百合ヶ丘から先は直通で小田急線に直通している。 また 2002 年のダイヤ改正からは代々木上原から千代田線にも本格的に直通し、 都心 3 区までも直通でアクセス可能な利便性があった。しかし 2018 年のダイヤ改正で千代田線との直通がなくなってしまい、都心 3 区にアクセスする層は乗り換えが必要な格下げを食らってしまった。では実際のマンション価格や地価はどうだろうか。

結論、 グラフ①・②からわかるように都心直通有無という程度ではマンション価格も公示地価も大きく変化している様子は見られない。 マンション価格はダイヤ改正前の 2017 年からダイヤ改正をして3年が経過した 2020 年までの増減を見ると沿線=+23.4%に対し、沿線の運行する行政区全体では+11.1%と増加幅が沿線の方が大きい。公示地価も同様であり、唐木田 1 丁目地点の地価は 2017 年から 2020 年まで概ね横ばい~1%の前年増に対し、多摩市全体は横ばいとなっている。

② 東急・相鉄新横浜線
東急 ・相鉄新横浜線は 2023 年 3 月に開通した、 新路線だ。 日吉駅から西谷駅を結びながら、そのまま東急東横線・相鉄線へ直通する路線であり、中でも新横浜駅は元々新幹線停車駅などで利便性高い駅な上に新横浜線で都心直通・始発電車もあるといった大きな格上げ駅として話題を呼んだ。そんな東急・相鉄新横浜線の新築マンション・公示地価はどのように変化しているのだろうか。

こちらは東急・相鉄新横浜線によって資産価値にも大きく影響を受けたといえる。 実際に大きな影響のあった新横浜と横浜市全体で比較すると、2023 年の新築マンション平均坪単価前年比は新横浜=+6.2%・横浜市全体は=-7.4%。更に公示地価はわかりやすく、新横浜線の先駆けとして 2019 年に羽沢横浜国大が誕生し埼京線が延伸したがその翌年にあたる2020 年と、2023 年の地価上昇率は横浜市全体と比較しても増加幅が大きいことが分かる。

③ 東武東上線
東武東上線も昨今ダイヤ改正を行った路線に1つだ。2023 年にダイヤ改正が行われ、快速が廃止。 快速急行停車駅が志木駅から朝霞台駅に変更となった。 それ以外にも朝霞駅が急行停車駅、 上板橋駅が準急停車駅に格上げされている。 ここでは京葉線ニュース同様にあやかって快速急行が停車しなくなった志木駅を対象に見ていきたい。

志木駅 (行政区面積が小さいため埼玉県全体と比較) は東上線快速急行駅ではなくなった点は大きく影響していなさそうだ。2023 年の新築マンションの平均坪単価も埼玉県全体が横ばいなのに対し上昇、公示地価も埼玉県全体の上り幅以上の増加となっている。

事例から読み取れる考察

以上の3事例を見ていくと、 路線の直通停止・或いは快速急行や急行の停止のみでは大きく資産性には影響しないと考えられる。もちろん今回の京葉線のニュースによって利便性が損なわれてしまうことによるイメージダウンは免れないだろう。 しかし、 それによって沿線エリア価値が損なわれることはなく、マンション価格や公示地価はまた別要素によって変動することが予想される。 逆に影響するのは新線開通レベルの駅力変化があった際だ。 このようなエリアはマンション価格の高騰や公示地価の高騰が顕著に見られる。 当然、 マンション価格や公示地価は国の政策や再開発などでも大きく変化するため、一概には言えないが、今後の展望を占う上での重要な要素には成りうるだろう。

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大山恭平

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